
腰痛と聞くと「筋肉の疲労」や「骨格の歪み」を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、なかなか改善しない慢性的な腰痛には、実は“内臓の位置の変化”が大きく関係していることがあります。普段意識することは少ないですが、内臓は靭帯や筋膜などによって支えられ、腹腔内で適切な位置を保っています。しかし、姿勢の崩れや筋力の低下、生活習慣の乱れによってこのバランスが崩れ、内臓が本来の位置より下がる「内臓下垂」の状態になると、腰や骨盤周りに大きな負担をかけるのです。
◆ 内臓下垂が起こる原因
内臓下垂の原因にはいくつかの要因があります。
腹筋や体幹の筋力低下
体を支えるインナーマッスル(腹横筋や腸腰筋など)が弱まると、内臓を正しい位置で保持できず、下がりやすくなります。特に出産後や運動不足が続く方は注意が必要です。
猫背や反り腰などの姿勢不良
骨盤が前傾や後傾した状態で固定されると、内臓の収まるスペースが変わり、重力によって下垂が起こります。長時間のデスクワークやスマホの使用も大きな影響を与えます。
食生活や生活リズムの乱れ
便秘や消化不良など腸の働きが低下すると、腸が下がりやすくなります。また、過度なダイエットや栄養不足も内臓の支えとなる筋肉や脂肪層を減らし、下垂を助長します。
加齢やホルモンバランスの変化
年齢を重ねると筋力や靭帯の強度が低下し、内臓を支える力が弱まります。特に女性は妊娠・出産や閉経などで骨盤底筋群に影響が出やすいです。
◆ 内臓下垂が腰痛を招く仕組み
内臓が下がると、お腹の中の圧力バランスが崩れ、腰や骨盤周辺にかかる負担が増えます。具体的には以下のような流れで腰痛が慢性化します。
内臓の位置が下がる → お腹の奥の筋肉や靭帯に持続的な引っ張りがかかる
体幹の安定性が低下 → 腰の筋肉や関節が過剰に働き、疲労が蓄積
血流やリンパの流れが悪化 → 筋肉が硬くなり、神経の圧迫を招く
姿勢の崩れがさらに悪化 → 慢性腰痛の悪循環に陥る
「整体やマッサージを受けてもすぐ戻ってしまう…」という方は、体の奥にある内臓の動きや位置の影響を考える必要があるかもしれません。
◆ 自分でできる内臓下垂チェック
常にお腹がぽっこりして見える
仰向けになるとお腹が平らになり、腰が浮きやすい
食後に胃のあたりが重く感じる
腰を反らしたり立ち上がる時に違和感が出やすい
長時間座ると腰やお腹のだるさが増す
これらが当てはまる方は、筋肉や骨格だけでなく内臓のサポートが必要な可能性があります。
◆ 整体でのアプローチ
当院では、腰痛の原因を「骨格の歪み」「筋肉の硬さ」だけで判断せず、体の内側のバランスにも着目します。内臓の位置を整えるには、以下のようなアプローチが効果的です。
姿勢・骨盤の調整
骨盤や背骨の歪みを整え、内臓が正しい位置に戻りやすい土台を作ります。
内臓調整・呼吸改善
お腹の筋膜や横隔膜の動きを改善し、呼吸と連動した内臓の自然な動きを取り戻します。
体幹・骨盤底筋のトレーニング
施術だけでなく、簡単なエクササイズを取り入れることで再発を防ぎます。
生活習慣のアドバイス
座り方・立ち方・睡眠姿勢・食生活など、内臓の位置に影響を与える日常習慣を一緒に改善します。
◆ セルフケアのポイント
お腹のマッサージ:手のひらでおへそ周りをやさしく円を描くようにマッサージすると血流改善に。
呼吸法:お腹を膨らませる深い呼吸で横隔膜をしっかり動かし、内臓を支える筋肉を刺激します。
骨盤底筋エクササイズ:座ったまま肛門を締めるような動きを意識し、体幹の安定感をアップ。
正しい座り方:骨盤を立て、足裏を床にしっかりつけることで内臓が下がりにくい姿勢をキープします。
◆ まとめ
「腰痛=筋肉の疲れや骨の歪み」と思いがちですが、体の中で重さを持つ内臓が下がれば、腰への負担は何倍にもなります。マッサージや湿布でごまかすだけではなく、根本原因である内臓の位置や体のバランスに目を向けることが、慢性的な腰痛改善の近道です。「長年腰痛に悩んでいる」「施術を受けても戻ってしまう」という方は、ぜひ当院での内臓調整を含めたケアを体感してください。